ごあいさつ
太陽エネルギー化学研究センターは、2001年(平成13年)に、将来のエネルギー資源および環境保全技術の開拓を目指した研究を推進するために、大阪大学学内共同教育研究施設として設置されました。太陽エネルギーの化学的利用に重点を置いた研究機関は他になく、ユニークな研究活動を行っています。


太陽エネルギー化学研究センターの起源は、1981年に創設された基礎工学部附属「太陽光エネルギー化学変換実験施設」にあります。センター建物の玄関には、実験施設創設を記念して、Melvin Calvin教授(1911-1997年)から当時の施設長であった坪村宏名誉教授(1927-2008年)に贈られた色紙が掲げられています。Calvin教授は、植物の光合成における炭素固定回路(Calvin回路)を解明した業績により、1961年にノーベル化学賞を受賞されました。同教授は、後年、エネルギー問題に関心を持ち、地球規模での代替エネルギー開発を目的に、高収率で油脂を生成する植物や人工光合成の研究をされました。坪村教授は、Calvin教授の講演を聞いて感銘を受け(1971年頃)、それまでの分子化学を中心とした研究から、広い意味での「人工光合成」に、研究方向を大きく転換されました。その研究成果に、高効率湿式太陽電池、色素増感太陽電池、可視光型光触媒による高効率水素生成などがあります。これらは、世界の研究を先導した成果として知られています。 当センターは、この学問的系譜を継承し、化学プロセスで製造できる新型太陽電池や、高効率光触媒の研究を進めています。また、微細構造を制御した表面を反応場とする光エネルギーを利用した物質変換反応や、液中の微量イオンの光化学的検出法など、光と物質の関わりに由来する新しい研究領域も開拓しています。
資源・エネルギー問題、環境問題の深刻さが高まる中、当センターに課せられた使命はますます大きくなっています。関連する研究分野において、大阪大学ではアモルファスシリコン太陽電池、有機系太陽電池、光電子移動の基礎過程など、世界的研究成果が数多く挙げられています。また、関西圏には、太陽エネルギー利用に関連する企業が集中しています。実験施設創設から30年を経過した当センターは、学内外の研究グループとの連携を深め、これまで以上に太陽エネルギー利用に関する研究拠点としての役割を果たしていく所存です。
太陽エネルギー化学研究センター
センター長 宮坂 博
沿革
1981年
太陽光エネルギー化学変換実験施設 (時限付き基礎工学部附属実験施設)
1991年
有機光工学研究センター(時限付き学内共同教育研究施設)
2001年
太陽エネルギー化学研究センター(時限付き学内共同教育研究施設)
太陽エネルギー変換研究分野
環境光工学研究分野
(2006年)
エネルギー・環境触媒分野(連携分野)設置
(2008年)
「共同分析・測定室」設置(補正予算)
2011年
太陽エネルギー化学研究センター(学内共同教育研究施設)
太陽エネルギー変換研究分野
太陽電池・光触媒材料研究分野
環境光工学研究分野
ナノ光化学研究分野
共同分析・測定室
組織
センター長 宮坂 博 教授(兼務) | |||
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専任教員・職員 |
招へい教員・研究員 |
兼任教員(学内) |
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太陽エネルギー変換 |
専任教員・職員 ・中西周次 教授 ・原田隆史 技術専門職員 |
招へい教員・研究員 ・東田卓 招聘教授 ・行天久朗 招聘教授 ・加藤創一郎 招聘准教授 ・金子弘昌 招聘准教授 ・石川聖人 招聘教員 |
兼任教員(学内) ・小林光 教授 |
太陽電池・光触媒材料 |
専任教員・職員 ・神谷和秀 准教授 |
招へい教員・研究員 ・池田茂 招聘教授 ・藤井克司 招聘教授 |
兼任教員(学内) ・桑畑進 教授 |
環境光工学研究分野 |
専任教員・職員 ・平井隆之 教授 |
招へい教員・研究員 ・吉田寿雄 招聘教授 |
兼任教員(学内) ・中野雅由 教授 |
ナノ光化学研究分野 |
専任教員・職員 ・白石康浩 准教授 |
招へい教員・研究員 ・鳥本司 招聘教授 |
兼任教員(学内) ・山下弘巳 教授 ・西山憲和 教授 |
共同分析・測定室 |
専任教員・職員 ・中西周次 教授(兼任) |
兼任教員(学内) ・福井賢一 教授 | |
センター事務 |
専任教員・職員 ・関谷恭子 事務補佐員 |
国際交流
国際交流(部局間学術交流協定)
◯マレーシア工科大学(マレーシア)
◯南洋工科大学材料科学工学部(シンガポール共和国)
アクセス
〒560-8531
大阪府豊中市待兼山町1-3
大阪大学太陽エネルギー化学研究センター
TEL:06-6850-6699 FAX: 06-6850-6699(共通)